禁煙から何故か自転車にハマったオヤジです。

歯槽膿漏悪化で禁煙を決意!それから創意工夫で根性禁煙継続中!それからなぜだか自転車(MTB)の世界にハマり中です。

母との秘密の食事

ぐるなびお題「思い出のレストラン」
http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/gnavi201503

父の居ない夜に行く母との秘密。

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父の仕事はホントに多忙でした。

子供心にも常に帰ってくるのが遅い、という印象が今でも残っています。

でも、たいがい酔っぱらって帰ってきてたような気がしますね。

本当に遅くなる日は、連絡があったみたい。

たぶんまだ小学1年ぐらいだと思います。

友達と野山で走り回り、お腹を空かして帰ると、食事の用意をしていない母。

いつもなら、台所で包丁で何かを切る音がしてるのに・・・

僕は「お母さんお腹へった〜今日は何?」と聞くと、

「今日はお父さんが遅いから、ごはん食べに行こうか」

という母。

僕は大はしゃぎです。「お母さん、いつもの所?」そう聞くと、

「そう。いつものところ。みんなには絶対内緒よ。秘密だよ」

僕は大きく頷く。そう、これは母と僕の秘密なんだ!なんか秘密という言葉に妙に反応してしまう子供のころ。たぶん当時の流行りの戦隊ものに「秘密戦隊」などのネームが付いていたからだと思います。

そんな「ドギマギ顔」を見て笑ったように見える母の顔。

そして超田舎の道を母と歩いて降りていく。

僕のメニューは必ず決まっていた!

暗い夜道を超ビビりな僕は、母の手を握り締め歩いていく。

街灯もまだ少なくて、砂利道を音をたて母と歩く。

時おり竹藪の竹がゴーと吹いた風に揺れる。

先に見える自動販売機の明かりが、やけに妖しく見える。

その光に赤色のドラム缶のようなコンクリート製のポストが・・

今にも動きだしそうに・・。

僕の昔住んでいたところの印象は、こんな感じで心に残っています。

例えていえば、トトロのいるような、田舎にいたんですね〜。

やがて、国道に出て、道も「砂利道〜アスファルト」に。

激しく行きかう車が通りすぎる。

やっとのことで、今で言うファミレスに到着。

今はもうないそうですが、当時は大流行りだったと思います。

広々とした店内に入りメニューを見る。

でも、いくら見ても決まってます。食べるものは・・・

「ご注文お決まりでしょうか?」

そんな店員さんに母は

「Aセット一つと、ビール。この子には・・・」

「ハンバーグスパゲッティ!」と僕。

フッと笑う母に店員さんが、

「ではAセット一つにビール、ハンバーグスパゲッティ一つですね」と。

「ハイ。お願いします」と母。

店員さんが居なくなると、母は

「結局また同じね。」とニッコリ。

で、ハンバーグスパゲッティとは、イタリアンスパゲッティの上にドンとハンバーグがのっている贅沢なパスタです。これが大好きでした。

楽のしい食事の時間が、あっというまに過ぎ、僕は母に念押しされるのだ。

「いい?お父さんにも誰にも言っちゃダメ。二人だけの秘密。わかった?」

きっと当時は外食に行くことが、特別な行為だったんだと思います。

食べるのと呑むが大好きな母のストレス発散だったのでしょう。

そして僕は「ラジャ!」と敬礼をする。

そう「秘密は守り通すのが任務なのだ!」と使命感に燃えて。