若者たちの人材が不足しているのだ!
どこに行っても深刻な人材不足
なぜ、こんなタイトルなのかと言うと、ズバリ先日のとある現場での出来事から思ったんです。
普段なら現場に来ない偉い人が、現場にやってきて陣頭指揮をとっている。
本当なら若い人の仕事です。
しかも、その傍らに若い人が居るわけではない。
これでは、「見て覚える」こともできないです。
僕たち建築労働者の人手不足というのは、NEWSなどでやっている通り深刻な問題です。
でも、当の本人たちは、実はそんなに思ってなかったりするんです。
僕もその内の一人でした。
だって、間違いなく現場は動き、廻ってますからね。
でも、確実に高齢化はやってきてますし、
若者離れも進んでいます。
しかも、その貴重な若者を育てる人たちが余裕なし。
悪循環のスパイラルが続いているからです。
現場の職人さんの高齢化
これはもう見た感じで解かります。
だって、朝の朝礼で人が並ぶと、間違いなく50歳から60歳ぐらいの
職人さんたちが、多く並ぶからです。
これは「長場」と呼ばれる大手ゼネコンの現場でのこと。
しかし、現場は大手だけじゃありません。
当然中小企業のやっている「町家」と言われる現場でも同じです。
来ている職人さんの年齢がやはり「50歳〜65歳越えの人たち」が多いです。
ですから、現場の進むスピードがかなり落ちてます。
当然、人が確保できない中小ゼネコンは、現場に職人さんが来てくれないので、「途中で止まる」という現象もおこります。
実際に私も体験するようになりました。
理由は簡単で、30歳から40代の働き盛りの職人さんは、当然引っ張りだこです。
どの現場でも欲しい年齢。でも忙しくて来てくれません。
そこで、下請け業者は引退した職人さんたちに声をかけて、
65歳以上の職人さんを使いだしました。
だから、中小町家の現場に、還暦を過ぎた職人さんが多いんだと思います。
でも、超ベテランの職人さんを使うことは、良いことだと思います。
その、経験と技術を発揮して、良い工事をしてくれるのですから。
でも本来ならここに、後継者である若者を入れるべきなのに、まったくいません!
人を育てるということができないのが現状なんです。
職人さんを確保し、仕事を与え続けるのが難しい時代
これは、長引いた不況が原因になってると思います。
仕事を確保するために、会社は工事単価を下げました。
生き残りをかけて「ギリギリ」のせめぎ合いをしています。
悪い言い方なら「クビの絞めあい」をしている状況。
こうなると共倒れですよね。本来なら「適正単価」というのがあるはず。
これを大きく下回る仕事単価で実際に工事をしているわけです。
そうなると、自社で職人を抱えるのは得策ではありません。
沢山の職人を抱えると、仕事を与え続けるために、更に無理な値段で仕事を獲ることになるからです。
しかも、いつ仕事が切れるかわからない状況が続いています。
そんな不安感が経営者に「人を確保すること」に、二の足を踏させる結果になってます。
だから、忙しいときだけ、「仕事ができるフリーの職人」に応援を頼み、現場を廻しているんです。これなら人を抱える経費が削減できるからです。
これはこれで良いのですが、長い目で見ると大きな問題を抱えています。
「後継者不足」です。若い人材も抱えないので、当然ですよね。
そりゃ、給料は安い、仕事は危険できつい。保障もなし!これまで通りのやり方では、もう人は集まりません。これはどの業態でも同じなのでは・・・
夢をもてない若者たちを作ったのは今の大人たち
これは、僕にも言えることだと思うんです。
だって、この現場の世界に夢を持たすことが、できないんですよ。
僕が若いころは、身近な先輩たちが「良い車」に乗り、普段の身なりもかっこよくて、正直あこがれでした。
「僕もああいうふうな大人になる事が可能」だと。
実際に可能だったんです。とても近い所に「憧れの夢」を現実に見ることができたんです。
でも、今はどうでしょうか。
僕の姿を見て、憧れてくれる若者が居るでしょうか?
居ないですよね。
良い車もないし、かっこよくもない、アクセク働き、ブラック企業のように休みなく働く。
こんな姿見て、一緒に働いてくれる人なんて、なんかよほどの事情がないと居ないです。
更に具体的に考えると、「親方」と言われる職人の大元締めみたいな存在。仕事の腕もたつし、人望もあるような人。そんな「親方」の息子たちが仕事を継ぎません。
独り親方と言われるフリーの職人さんの「子供」たちも同じく継がない。
僕の若いころは、父親の仕事に憧れて「職人」になった子供たちが多かったです。
今はほとんど居ません。これが現実であり「答え」だと思うんです。
自分たちの子供にさえ「夢を見させる」「憧れの大人」になっていない。
厳しい言い方ですが、これが一番の原因だとおじさんは思うのです。